Сと書いてエスと読む。ソ連製レンジファインダー、Zorki-C(ゾルキー エス)

2022年2月21日

嗚呼、カメラ殿 第十五回は「Сと書いてエスと読む」Zorki-С(ゾルキー エス)の登場です。

Zorki-Сと書いて「ゾルキー シー」とは読まないこのカメラは、ソ連製のレンズ交換式レンジファインダー機です。

Сと書いて「エス」と読むのは、このСが英語ではなくキリル文字のСだからですね。ちなみに全てキリル文字で表記するならばЗоркий-Сとなります。

 

それでは本日も嗚呼、カメラ殿よろしくお願いいたします。

Zorki-С(Зоркий-С/ゾルキー エス)

作られたのは、ソ連。ロシアになる前の話ですから、それなりに古いカメラになります。

この「Zorki」というのは、KMZこと「S・A・ズヴェーレフ記念クラスノゴールスク工場」で作られていた、今回の主役である「Zorki-С」を含む多数のモデルが含まれるシリーズ名ですね。

結構何種類もの機体が作られていますので、Zorkiを色々見比べていくと楽しいですよ。

 

最初のZorkiは、かの有名なライカのカメラ「ライカII」のそっくりさん。当時世界各国で作られた、バルナックライカコピーのうちの一つでした。

 

本日の主役であるZorki-Сも、バルナック型のライカによく似た製品です。

ただ完璧なコピーではなく、独自の進化をした「独特の特徴を持つZorki」の一つでもあります。Zorki-С

マウントはライカのスクリュー式マウントと同じL39。L39のレンズは流通量も多く入手もしやすいので、現代でも使いやすいカメラの一つと言えるでしょう。

同じくソ連で作られたレンズを合わせると、雰囲気あって良いですね。

Zorki-С

張り革風の立体加工

本日紹介させていただいている個体の、黒い貼り革に見える部分は実は革ではなく、ボディそのものを黒く塗装し、そこに「革っぽく見える立体加工」が施されたものです。

Zorki-С

この「革風」加工は意外とよくできていますし、滑り止めにもなってくれる優れものなんですね。

革につきものの剥がれや劣化はないわけですし。持ち心地もよく、ヒンヤリとした感触は癖になりますよ。

フィルム装填は底から。スプールの有無にご注意

Zorki-Сの操作感はそう悪くはありません。これは、コピー元であるライカが優秀すぎるからとも言えるのですが……とても良くできたカメラかと思います。

 

フィルムの装填は裏蓋ではなく、底蓋をあけて装填するタイプ。慣れていないとなかなか入れづらいので、最初は期限切れのテストフィルムなんかを使用して練習すると良いかもしれません。

Zorki-С

上手くやらないと引っかかり、フィルムを痛めてしまう可能性がありますので。特に私は不器用なので、何度も練習しました……。

 

この手のカメラへのフィルム装填方法は、動画を公開してくれている方が多数いますので、色々見てやりやすい方法を見つけると良いかと思います。

私は「薄いカードを差し込んで」やる方法がお気に入りですね。

 

あと、フィルムを巻き取っていくスプールは固定ではなく取り外しできるタイプですので、購入の際は必ずあるかないかを確認してください。

これがないと撮影できません。

 

ちなみに、私はバルナックライカコピーを他にも数台持っているのですが、スプールは必ずしも互換性があるわけでは無いんですね。意外と「あれ、上手く噛み合わない?」なんてことになったりしますので、スプールの有無はほんと重要なんです!

シャッター速度設定はチャージをしてから

Zorkiシリーズは、さらにやっかいなところがあります。

「シャッター速度の設定はシャッターチャージをしてから」というルールですね。これはカメラ自体を傷めないようにするための所作ですので、覚えておくと良いでしょう。この話はWikipediaにも書かれていますね。

 

そうした気を使ってあげなければならないところも含めて、Zorki-Сは面白いカメラだと言えるのだと思います。

シャッター音もとても良いので、フィルムを入れずに触ってるだけでも楽しいですよ。

高さのある本体に合うケース選び

そうそう、もう一つ注意したいZorki-Сの特徴といえば、本体の高さがあります。

 

Zorki-Сはバルナックライカコピーの系統としては、少し「背が高い」カメラなのですね。

この高さのせいで、使えるケースが限られていたりするんです。

Zorki-Сはストラップ環の無いタイプのカメラですから、ケースがほしいという人も多いと思うのですが選ぶ際にはご注意を。

 

私は別途入手した、Zorki-2Сの刻印入りのものを使用しています。

Zorki-С

ケース選びは難航しますが、この本体の高さがいい感じに「迫力」につながり、Zorki-Сの存在感を高めてくれている気がします。

その他のバルナック型のカメラと並べてみると、おおZorki-Сだ……ってなっていいですよ。

 

あともう一つ、付け加えておきたいお話があります。

アクセサリーシューがキツめで手持ちの外付けファインダーが取り付けれなかったのです。

少し調整しないといけないのかな……なんて思いながら、ソ連性のファインダーをつけてみたら「スッ」とまるで専用品のようにピッタリとハマったんですね。キツさも感じず、ゆるさも感じず。

でも他の外付けファインダーをいれようとすると、やっぱり入らない。いくつかファインダーを出してきて確かめましたが、やっぱりちょっと狭めに作られているようです。

それがなんとなく面白いなぁと、この個体のお気に入りポイントの一つになっております。

そのファインダーも、そのうち紹介させていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。