上海58-II 型とブラック偽ライカ。コピーライカとフェイクライカの違い
ライカをコピーしたカメラは、世界各国で作られました。前回紹介させてもらったZorki-Сもその流れをくむものですね。
そうした製品を調べていくと、ややこしい言葉に当たることがあります。コピーライカ、偽ライカ、フェイクライカなどなど。微妙にニュアンスの違うような、そうでないような……。
嗚呼、カメラ殿 第十六回は、カメラを二台紹介させてもらいながら、そんな「言葉」についても触れさせていただきます。
コピーライカ上海58-II 型
さて、まずはこちらのカメラから。
バルナックライカのコピー製品。中国製の上海58です。
距離計が一体化しているファインダーつきなので上海58-II 型と言われる製品ですね。
コピーライカの大御所であるソ連製品に比べると見かける機会の少ないこちら。刻まれた「上海」という文字がなかなかクールです。
こちら私は「スプール」の無い状態で入手。なのでまだ使用テストができておりません。
他に所有しているライカコピーのスプールはどうもはまらず。合うものを地道に探していくとしましょう。シャッターはちゃんと作動しているような気がしますので、期待の一台です。
余談ですが、コピーライカという物自体は決して珍しいものではありません。むしろ、コピーライカが世界各国で作られた「時代」がありました。
日本にも、ニッカやレオタックス等がありますね。その他はアメリカ、イギリス製なども。
どれもコピー製品らしく似たようなビジュアルではあるのですが、製品ごとに細かな違いがあったりして非常に面白いものです。だから集めたくなってしまうのですよね。
ブラックボディの偽ライカ、偽エルマーつき(フェイクライカ)
お次はこちら。
一部で「本物の偽ライカ」と言われているものです。本物か偽物かで言えば、偽物。ただ他のライカコピーと言われる製品と違い、カメラに刻まれているのは「Leica(ライカ)」の文字。
でもこのカメラはライカではありません。だから本物の偽物というわけですね。
世間では上海やZorkiのような、ライカを真似たけど製品名は自社のものを使っているものがコピーライカ……この機体のような「私はライカです」と嘘をついている偽物が、フェイクライカと言われていたりします。
こちらの偽ライカについているレンズは、まさにそんなカメラにピッタリの一品。
正面から見るとライカの名レンズである「Elmar(エルマー)」の文字が。もちろんこれも偽物です。要するにこれも「本物の偽ライカ」ですね。
偽ライカの「材料」として使われたのは、ZorkiやFEDなどのコピーライカだと言われていますが、その中身を確かめるのは素人には至難の業。
ただ専門店に行けばフェイクライカはちゃんと「偽物」として販売されていますので、ちゃんとしたお店さえ知っていれば真偽を見分ける能力が無くても安心して偽物の入手ができます……と、書いているとなんだか感覚がおかしくなってきますね。偽物なのに安心とは……?
でも、そこが面白い。
フェイクライカは嫌われることのほうが多い偽物というカテゴリーの中で、珍しく愛されている存在だとも思うのです。
それはきっと、上海のようなコピーライカ、そしてフェイクライカがカメラの歴史を知る上で重要なポジションにあるからかもしれません。
それに偽ライカは、本物のライカには存在しないようなビジュアルのものが多数。そんなところもどこか愛らしいのでしょう。
それにしても、どうしてこの手の製品は……集めたくなってしまうのでしょうか?